来 歴

魔法

私が歩く足の下から
見えない影が立ちあがる
毎日が厚かましいくりかえしなので
何かが愛想をつかしているらしい
私が歩こうとすると
影がすばやくいれかわつてしまうので
私は歩けない
だからこのごろ
首の上へ
思索顔ばかりのせておく
かつては従者であつたものが
現在の主人となり
今日も顔の裏側を
風のように吹きぬけながら
もうぶざまな私の泣き顔を
泣いてしまつているものがある

原文のまま っがつとなっています。

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